禍は足ることを知らざるより大なるは莫し
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第三十五回
★食べ過ぎをやめ、明日の楽しみを残す生き方
そんな時代の流れで、最近、健康食ということが声高に言われるようになりましたが、私たちが食べているものは、長い経験と人体実験により、先人たちが食べて安全なものを選び出して残してくれたものばかりですから、適度に食べれば、みな健康食なのです。そして実はその「適度」がとても大切なのです。このことを、すでに紀元前の世界の名著『老子』は、五千文字に集約された哲学の中で重ねて語っています。「足るを知る」つまり欲望をほどほどにし、皆で分け合う生き方ができたら、人生をもっとゆったり健康に楽しめるのですよ、と教えているのです。そして、そんな生き方を皆がすれば、より平和で幸せな世界がやってくることでしょう。そこで実践です。「適度に健康的に食べる」ことをはじめてみましょう。食べ過ぎによる胃や腸の疲労がなくなれば、本来体がもつ自然治癒力は活発に働き、胃や腸の病気を予防することもできます。そして、それは食べたいものを食べることをあきらめるのではなく、食事を楽しみ、よく噛んで、ちょうど良いだけ食べたら、残りは明日の楽しみとしてとっておくのです。今日すべて手にするのでなく、明日を楽しみにする、そんな生き方をすれば、私たちは健康を保ち、生涯現役で働き、余裕のある豊かな人生を過ごすことができることでしょう。「腹八分に医者いらず」昔の人の名言ですね。そしてこの言葉は「足るを知る」の神髄を理解していた日本の先人達が残した食への提言でもあるのです。
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